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BLUE RECORD#030('98.4.1 RELEASE)

  

 変臭長YONEちゃんは、基本的なトコロで間違っている。

 自分のWebに、「'60年代の亡霊のようなOasisや、亡霊そのもののStonesは好きではない」と書いているこの僕に、大のStonesフリークの山川健一(yamaken)率いる「SO MUCH LOVE」の1stライブをレポートさせるなんて。しかもゲストは鮎川 誠&シーナだ! さらに悪いことに、僕はこのライブの前日に、東京ドームでU2を観てしまった。だから、悩みつづけ、変化しつづけるU2にモロに感化された状態だったのだ。

「SO MUCH LOVE」とは、作家であり、自ら率いるバンド「SO MUCH TROUBLE」を昨年解散させたyamakenが始めた、メンバーを固定しないプロジェクト。今日はヴォーカルのyamakenの他に、ギターはyamaken自身が「ライバル」という筌尾正。ピアノが岩橋弘士でベースは吉岡誠司(共に元SMT)、ドラムスは「Yamaken's BBS」の常連、神谷茂巳。もう一人のギターが、やはりBBSでコンタクトをとった東北のブルースマン、横尾ユタカ(Yutaka)という編成だ。とくにベースは直前まで決まっていなかった。でもyamakenは「そういういい加減なことでいいのかという説もあるだろうが、ぼくはロックンロールの原点に帰ってみたかったんだよ。これが今のぼくにとって、ロックンロールを楽しみ尽くす最高の方法なのさ」と、すべてを楽しんでいるような口振りだ。

 会場には、以前からのファンやBBSの常連、シーナ&ロケッツのファンなどが詰めかけて、異様な熱気につつまれた。シーナがやってくれたというメイクでyamakenが登場し、過去のナンバーをたて続けにキメる。とても数回のリハしかやっていないメンバーとは思えないスピード感で駆け抜ける。直前にはとても不安そうな顔で弱気な発言をくり返していた神谷はヤケにニコニコしているし、登場した瞬間こそ「オレは場違いなんじゃないか」とでも言いたげだったYutakaも「とーちゃーん!」の大声援に、曲が進むにつれてシブ味を出してくる。筌尾、岩橋、吉岡は余裕をかましているが…、それにしてもyamakenのメイクは怖いぜ! 近くで見るんじゃなかった(ウソウソ、舞台映えするメイクでした!)。

 やがて鮎川 誠とシーナが登場。鮎川が言う。「なんで今日みんな集まってるかっていうと、Stonesが日本に来るからなんだよね。なんか、ウレシイよね」 会場は大いに盛り上がる。それを煽るかのようなStonesナンバーのオンパレード…。

 僕はうらやましかった。正確に言うと、悔しかった。

 前日の東京ドーム。U2のステージ。アリーナを見回すと、一人で来ている人がとても多いことに気がついた。ドーム全体をアジるようなダンスビート、嬉々としたボーノのパフォーマンスにも、彼、彼女は座ったまま。演歌のような手拍子、無表情。司会に鈴木杏樹でも出てくるんじゃないか…って、「ミュージックフェア」じゃないんだから。U2ファンって友だちいないのか? 寂しいのか?それともローンウルフを気取っているのか? …などと言っている僕も、一人で来ていたりして。

 今日のSO MUCH LOVEのライブの会場に集まっている人たちは、Stonesフリークで、ロックフリークだ。コ難しい理屈抜きで盛り上がれる「共通言語」みたいなのを持ってる。だからうらやましいし、悔しい。それに比べりゃU2は暗いよ。真面目だけど不器用だしね。でもロックはやっぱりハッピーじゃなきゃいけないよね。だって今の世の中ハッピーじゃないんだから。音楽聞いて暗くなってる場合じゃないじゃん。なーんてコトを考えていたら、バンドの名前の「SO MUCH LOVE」の意味がなんとなーくわかってきたような気がしてきた。yamakenのホームぺーじに大きく「LOVE & PEACE」と書いてあるワケも。理屈じゃなくてニュアンスとして、なんだけど。頭の中で「ロックは愛だ」などと呟いてしまった。でもマジそう思ってしまったのだ。それまで僕は、とても狭い意味でしかロックをとらえていかったってことなんだ。

TEXT / GEN Sugai(gsugai@hh.iij4u.or.jp

PICS / ゆうたん(joy@kamome.or.jp

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